アレルギー性結膜炎

目がかゆくて充血して目やにが出てなんだか目がゴロゴロして、こするとまぶたまでかゆくなり、まぶたの皮膚がカサカサして荒れてきて・・・というような経験はないでしょうか?これはアレルギー性結膜炎の可能性があります。そもそも、身体には有害なものを排除しようとする免疫反応という能力がありますが、有害でない身の回りにあるものに反応して症状が出ることをアレルギーと言います。患者さんに「私はこれまでスギ花粉でアレルギーなんてなかった。」などと言われることがありますが、ちょうど、コップに水をそそぐと、いっぱいになってあふれるように、あるタイミングで反応するようになる(感作)ことがあります。そして一度反応するようになると、次に同じものに触れると、アレルギー症状を繰り返します。近年アレルギーの患者さんは増えていると言われています。昨今の清潔な生活のために、身の回りにある無害なものに反応するようになったとか、排気ガスなどの空気の汚れや食生活の乱れのためにアレルギーが増えたとかいろんな説があります。昔は幼稚園くらいのお子さんのお母さんに「お子さんはアレルギー性結膜炎ですよ。」というとびっくりされましたが、最近は「やっぱり!」という反応が返ってくることも多く、小さなお子さんからご高齢の方まで、いかにアレルギーの患者さんが増えているか、実感しています。


アレルギー性結膜炎の種類

  • 季節性アレルギー性結膜炎・・・花粉が飛ぶ時期だけ症状が出るタイプで、大体関西では2月の後半からスギ花粉、3月半ばごろからヒノキ花粉、ゴールデンウイークが終わると6月ごろからイネ科の雑草、9月ごろからブタクサ・・・と春と秋を中心に花粉が飛び、その時期に症状が出ます。地域によって花粉が飛ぶ時期、また種類も違うので、注意が必要です。いわゆる花粉症の目の症状ですが、アレルギーの85%はこのタイプで、我が国のアレルギー性結膜炎2000万人の大半を占めています。
  • 通年性アレルギー性結膜炎・・・季節に関係なく、一年を通して身の回りにあるものに反応するタイプです。ハウスダスト、ダニ、カビ、ペットなどです。年中症状がありますが、ハウスダストやダニアレルギーは、気温が高く、湿度も高い時期に症状が強い傾向があります。
  • 春季カタル・・・上まぶたの裏にブツブツができて、強い異物感を感じます。ひどくなると視力の低下につながることもあります。

アレルギー性結膜炎の症状

写真はスギ花粉によるアレルギー性結膜炎の方の目の様子です。目のかゆみが代表的な症状です。目の周りの皮膚、目のふちがかゆくなることもあります。かくと、ヒスタミンの遊走(放出される)がおこり、余計にかゆくなり、悪循環におちいります。なので、早めに目薬で治療、予防することが大切です。充血や目やに、ゴロゴロする感じ(異物感)も多く認められ、、ひどくなると、写真のように白目が腫れることもあります。これらの症状は両目におこる場合がほとんどです。目だけでなく、鼻水、鼻詰まり、くしゃみなどの鼻症状、皮膚の発赤やかゆみを伴う場合もあります。


アレルギー性結膜炎の治療

  • 主に抗アレルギー薬の点眼薬が使われます。症状が強い場合はステロイド点眼薬などを追加する場合もあります。ステロイド点眼薬は眼圧が上昇する副作用を生じる場合があるので、定期的な診察が必要です。症状が強く、日常生活や仕事に支障をきたすような場合は、抗アレルギー薬を飲み薬として服用する場合もあります。
  • 花粉症の場合は、あらかじめニュースやネットの情報でその年の花粉の飛び始める時期を調べて、その2週間くらい前から点眼薬を予防投与することで、ピークの時期の症状を軽くしてステロイドの点眼薬も減らすことが出来る可能性があります。
  • セルフケアとしては、アレルギーの原因を避けることが大切です。花粉の多い日は外出や外に洗濯物を干すことを避ける、外出時にマスク、メガネを着用する、マスクは隙間を作らないように装着、メガネは花粉症対策用のゴーグルタイプも良いでしょう。外から帰ったら、服についた花粉を落としてから家に入る。空気清浄機を利用する。人口涙液や点眼型洗浄液などで原因物質を洗い流す。ダニやハウスダストの場合は、こまめに掃除機をかけたり、寝具を干したりすることも効果があります。ペットの場合は屋内で飼うことを避けると症状は落ち着きます。
  • コンタクトレンズ装用者は、症状がある時は、いつも以上に手入れをしっかりする。装用時間を短くする。メガネにする。一日使い捨てコンタクトレンズに変更するなどの対策が有効です。
  • 参天製薬から花粉症対策のためのかゆみダスというアプリが2021年1月から使えるそうで、こういったアプリ(他にも同様のアプリがあります。)を使用されても良いかもしれません。

アレルギーマーチについて

食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎が、アトピー素因のある人に、成長によって次々発症するようすをアレルギーマーチと言います。典型的には、乳児期にアレルギーの原因となるものを摂取したときに、アトピー性皮膚炎、乳児湿疹がおこるのがアレルギーマーチの出発点と言われています。その後、成長に伴い気管支喘息、さらにアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎を発症します。乳児期にアトピー性皮膚炎や乳児湿疹がある場合は、きちんと治療を受けることで、その後のアレルギーの発症を予防できたり軽くすることができる可能性があります。また、こういったお子さんが、目のかゆみや充血を認めた場合は、早めに眼科を受診していただくことが大切です。さらに、就学時のお子さんは、アレルギー性結膜炎だと思っても、流行性角結膜炎(はやり目)の可能性がありますので、診察を受けるようにしましょう。