目がかゆくて充血して目やにが出てなんだか目がゴロゴロして、こするとまぶたまでかゆくなり、まぶたの皮膚がカサカサして荒れてきて・・・というような経験はないでしょうか?これはアレルギー性結膜炎の可能性があります。そもそも、身体には有害なものを排除しようとする免疫反応という能力がありますが、有害でない身の回りにあるものに反応して症状が出ることをアレルギーと言います。患者さんに「私はこれまでスギ花粉でアレルギーなんてなかった。」などと言われることがありますが、ちょうど、コップに水をそそぐと、いっぱいになってあふれるように、あるタイミングで反応するようになる(感作)ことがあります。そして一度反応するようになると、次に同じものに触れると、アレルギー症状を繰り返します。近年アレルギーの患者さんは増えていると言われています。昨今の清潔な生活のために、身の回りにある無害なものに反応するようになったとか、排気ガスなどの空気の汚れや食生活の乱れのためにアレルギーが増えたとかいろんな説があります。昔は幼稚園くらいのお子さんのお母さんに「お子さんはアレルギー性結膜炎ですよ。」というとびっくりされましたが、最近は「やっぱり!」という反応が返ってくることも多く、小さなお子さんからご高齢の方まで、いかにアレルギーの患者さんが増えているか、実感しています。
写真はスギ花粉によるアレルギー性結膜炎の方の目の様子です。目のかゆみが代表的な症状です。目の周りの皮膚、目のふちがかゆくなることもあります。かくと、ヒスタミンの遊走(放出される)がおこり、余計にかゆくなり、悪循環におちいります。なので、早めに目薬で治療、予防することが大切です。充血や目やに、ゴロゴロする感じ(異物感)も多く認められ、、ひどくなると、写真のように白目が腫れることもあります。これらの症状は両目におこる場合がほとんどです。目だけでなく、鼻水、鼻詰まり、くしゃみなどの鼻症状、皮膚の発赤やかゆみを伴う場合もあります。
食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎が、アトピー素因のある人に、成長によって次々発症するようすをアレルギーマーチと言います。典型的には、乳児期にアレルギーの原因となるものを摂取したときに、アトピー性皮膚炎、乳児湿疹がおこるのがアレルギーマーチの出発点と言われています。その後、成長に伴い気管支喘息、さらにアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎を発症します。乳児期にアトピー性皮膚炎や乳児湿疹がある場合は、きちんと治療を受けることで、その後のアレルギーの発症を予防できたり軽くすることができる可能性があります。また、こういったお子さんが、目のかゆみや充血を認めた場合は、早めに眼科を受診していただくことが大切です。さらに、就学時のお子さんは、アレルギー性結膜炎だと思っても、流行性角結膜炎(はやり目)の可能性がありますので、診察を受けるようにしましょう。